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NEWS LETTER みさきで『良い経営』を考える VOL.4

CROSS TALK

みさきで『良い経営』を考える

小口正範

三菱重工業株式会社

代表取締役CFO

中神康議

みさき投資株式会社

代表取締役社長

まえがき

みさきニューズレター4回目になる今回は、日本を代表する企業集団・三菱グループの中核をなす三菱重工業株式会社の代表取締役CFO、小口正範さんにご登場いただきました。 三菱重工は国と共に歩んできた企業です。 実際、その業績も日本のGDP成長と軌を一にしてきました。 ともすると、重厚長大の代表選手・スピードの遅い会社と思われがちかもしれませんが、最近の経営改革の大胆さとスピードには目を見張るものがあります。 対談が進むにつれ明らかになってきたことは、国家を背負ってきたという高い意識。 そして国の形が変わるならば、企業の形も根本から変わらなければならないという合理的精神。 リーマン・ショックの時には、三菱重工でさえ資金が枯渇しかけたという話には驚きましたが、もっと驚いたのは重工ではその危機を逆手にとって、事業の取捨選択と財務構造の転換を一気に進めた、という話です。 「危機こそチャンス」とはよく聞く言葉ですが、生存の危機に直面すると、人間は実際にはついつい保守・保身に振られるものです。三菱重工という巨大組織がそうならなかった背景にはどんなドラマやリアリティがあったのか、読者の興味を惹く部分ではないかと思います。 実は小口さんは大の昆虫好き・動物好き。いまだに休日には網を持って蝶を追いかけているという少年のような方なのですが、その自然観察眼が、企業改革には絶対に必要な人間観・世界観につながっているという印象を受けたことも、この対談の面白さでした。 そして最後に語られる、事業の取捨選択を超えた今後の三菱重工の経営テーマ。 企業は何のためにあるのか、競争の本質とは何か、そして人間の本性とは? 足元ではいくつかの困難に立ち向かっている三菱重工ですが、むしろこのようなときだからこそ、同社がこれまで取り組んできた経営改革や、「良い経営とは何か」という(個別事象に左右されない)本質的な部分をお伝えすることができれば幸いです。

みさき投資株式会社

代表取締役社長

中神康議

目次

国のあり方とともに変わる、三菱重工の経営

中神:三菱重工といえば日本を代表する会社、良くも悪くも「どっしりとした会社」というイメージです。その三菱重工が、祖業である造船事業を分社化し、事業売却も実施、事業部制からSBU制に変更するなど、大胆な改革を進めています。 改革といえばつい施策の中身に注目しがちですが、私は「何があの三菱重工をそうさせたのか」という改革の背景やマグマのようなものに強い関心を持っています。 小口:弊社は国の近代化や経済発展とともに歩んできた会社です。実際その成長は日本のGDP成長とほぼ軌を一にしています。 創業は黒船来航の後です。列強に開国を迫られる中、西洋の技術を学び国の近代化に役立てるため当社が設立されました。そのひとつのクライマックスが太平洋戦争でしたが、大きな存在感を持った当社は、敗戦とともに解体されることになりました。 戦後は、焦土となった国土と、疲れ切った国民生活をどう立て直すかということで、再び海外から技術と資金を導入し、電力や交通などのインフラ整備に当たりました。これが第二の創業です。 このように、海外に技術を学び、それを国力増大に向けるというシンプルな成功のモデルが三菱重工にはあった。 それが、日本の経済成長がほぼ止まり、これまでのモデルが通用しなくなりました。ですから、会社を経営哲学や基本経済性のレベルから変えないと死んでしまう。そんな大きな危機感があり、それが「第三の創業」ともいえる今のフォーメーションチェンジにつながっています。 中神:三菱重工という超大企業にそこまでの危機感があるとはちょっと驚きです。小口さんは以前、岩崎彌太郎は相当な荒くれ者で、重工もアニマルスピリットの塊だったとおっしゃっていました。しかしそれが、戦前・戦後を通じて徐々にエスタブリッシュされていき、内向きのエリート集団になってしまったということでしょうか? 小口:三菱財閥の前身である九十九商会は当初海運や海外貿易を手がけていたので、正直「ヤクザモノ」の世界です。しかし単にそこで終わらなかったのは、長崎造船所のように、技術のみならず賃金・福利厚生・教育・会計などの各種制度を、当時としては驚くほどの水準で整えたからです。近代的な経営をするための、合理的な精神を取り入れました。その経営の伝統は今の当社にも引き継がれています。 ただ、内向きであったのは戦前からずっと変わらないと思います。当社の主要な顧客は政府や電力会社などの公共セクターで、輸出を盛んにしてきたわけではありません。 しかし今や日本という国のあり方が変わり、日本単独で何かができる時代ではなくなっています。目線を世界に移さなくてはなりません。同じような教育水準で貧富の格差も大きくない日本人が使うインフラと、東南アジアの人々が使うインフラでは、やはり前提から見直さなくてはなりません。 私は、競争とは「誰がその問題を一番適切に解決できるのか」という言葉に言い換えられると思っています。そうだとすれば、国内の問題を解決するのに相応しい組織であった会社が、グローバルな問題を解決していくには、やはり組織の形や基本精神そのものを変えなくてはならないのだと思います。「三菱重工という会社は何のためにあるのか」という哲学的な問題から考え直さないといけないのです。

小口正範

三菱重工業株式会社代表取締役CFO

リーマン・ショックがあったから、改革が前進した

中神:国の形が変わる中では、国を代表する企業も哲学レベルから変わらなければならないと。今日もう一つ聞いておきたいのは、リーマン・ショックによって天下の三菱重工でも資金が底を尽きそうになり、それが改革につながったというリアルな体験の部分です。小口さんは資金部長としてショックに直面されたわけですが、この局面は重工の経営にとってどのような意味があったのでしょうか? 小口:リーマン・ショックがメーカーに与えたインパクトは、オイルショックのときとは大きく違います。70年代の日本には、銀行を中心とした強固な財政・金融の仕組みがあったので、メーカーは受注が落ちたり為替が動いたりはしましたが影響は間接的で、仕組みに守られた存在でした。 しかし90年代からグローバル化やビッグバンで、金融の世界が先に動いていました。今の金融機関は私が就職活動をした頃とは様変わりです。守ってくれる仕組みがなくなり、自分たちだけでその衝撃に耐えなくてはならないのだと強く自覚しました。 小口:実は私自身がその衝撃を強くしてしまったという部分もあります。私が資金部長になるまで、当社はもしものためにと何千億円もの現金を寝かせていました。しかし私は経理部出身なので、「資金部に予算・調達能力がないから、経営に機会損失というツケを払わせて自分たちのリスクを減らそうとしている。そんなのは卑怯者だ」と、これを大幅に圧縮してしまったのです。 結果、数千億円あった準備金は、日次の運転資金に近い数百億円まで圧縮しました。そこに08年9月のリーマン・ショックが直撃したのです。しかし営業にはキャッシュの感覚がありませんから、大手航空機メーカーや外国政府が泣きついてくると、「お客様が困っているから」「金利をもらえるから」と、どんどん繰延を認めてしまったのです。会社全体で資金が足りないときに、営業がCFの問題をPLの問題に置き換えてしまうことが、いかに危険かを認識しました。 このとき私は4月に資金部長に就任したばかりでした。資金繰りは毎月見ていましたが、「さすがにまずい」と思った11月に本格調査をしたところ、当社にはリアルタイムで資金状況を把握するシステムがないことが分かったのです。ある意味では経営インフラが整っていないことをヘッジするために余裕資金を持っていたとも言えます。 最終的には何とか危機を逃れましたが、二度とこんなことが起きないように、なぜ判断が後れたのか、どうすれば本当に必要な情報を取れたのか、全て記録して社内で関係者に公表しました。相当格好悪いことですが、自分のミスジャッジも含めて全て出しました。 中神:そこまでオープンにしたからこそ、危機意識が共有されて改革が進んだのですね。小口さんは、「PLなんかで会社は潰れない。大事なのはキャッシュだ」とおっしゃっています。重工にキャッシュの感覚がなかったのは、銀行との関係が安定していたからなんですか? 小口:それよりももっと根深い問題だと思いますよ。当社は政府や電力会社を相手に事業をしていたので、BSに目を向ける必要がほとんどありませんでした。投資をしたら必ず注文が来る、一時的に非効率なことをしても必ず後で埋め合わせてもらえるという、「予定調和」の世界だったからです。しかも受注金額を「コスト+フィー」で計算する契約が多かったので、いかにコストを積み上げるかという負のインセンティブを持っています。そんな会社が成長するはずがありません。 中神:そういう危機感が、SBUごとに要求リターンと投下資本の割り付けを行い、全社のBSとCFを管理するという「戦略的事業評価制度」の基礎になったわけですね。 リーマン・ショックに対する会社の反応は二つあったように思います。一つは、「ほら見たことか。だからキャッシュを持っていないとダメなんだ」と保守化した会社。もう一つは、その反対で、いかにキャッシュを能動的に管理するかと考えを前進させた会社です。でも大半の会社は前者だったと思います。 小口:「禍福はあざなえる縄のごとし」と言われるとおり、今のミスジャッジが将来のプラスになることも、今の余裕が将来のマイナスになることもあります。その意味では、「うるさい、やるんだ」と押し切って手許現金を圧縮してよかったのかなと思います。もちろん荒波が来たときはシマッタ、と思いましたが、あれがあったから経営が前進したわけです。 BSについては、ショックを通じてもっと柔軟性を持たせなければならないと考えました。資金余力とは、「お金を貯めておく」ことではありません。本当は「いざというときに調達できる」力のことなのです。そのためには常日頃から、お金を貸してもらえるような筋肉質な財政状態にしておくことが必要です。 中神:ガバナンスの問題も同じですね。ガバナンス体制の整った企業で不祥事があると、「やっぱりガバナンスに意味はない」という主張が出がちです。でもだからこそ中途半端はダメで、もっと改革を進めなくてはならないという考えもあるわけですよね。 小口:世の中で競争に勝つのは、「問題を一番上手に解決できる人」です。そしてそのような人にはリソースもきちんと流れてくるものです。会社も、競争力を高め、財政を健全に保っていれば、世の中に受け入れられているはず。そうすれば潰れることはありません。 一方、いたずらにお金を貯めることは、本来自分たちが責任を持って対処すべきリスクを他に転嫁しているだけです。そういう会社が永く生き残れるとは思えません。

固着化する組織を動かしていく仕掛け

中神:重工はキャッシュや不採算事業を抱え込むのではなく流動化し、リソースを大胆に再配分しようとしています。 しかし、日本人は「あれもこれも」と考えがちで、「あれかれこか」と絞り込むことが苦手です。また、先輩を慮る文化もあるものだから、前例を覆すような決定は先送りされがちです。 小口:「あれもこれも」と考えるのは、リーダーのわがままなんです。世の中が何を求めているかを考えなければなりません。不採算事業があったとして、それを守りたいのはリーダーが自分の地位を失いたくないからです。「部下を守るため」と言いますが、部下は一生懸命やっても赤字で怒られるし、新規の投資もさせてもらえないし、本音では「やってられない」と思っているかもしれません。 三菱重工でも長崎造船所や高砂製作所のような事業所があり、それが日本のインフラを支える現場として機能していました。しかしやがて事業所という「城」を守ることが目的化してしまい、リソースを固着化する仕組みになってしまいました。 せっかく新しいビジネスチャンスがあっても、事業所の範囲に縛られてリソースを動かすことができません。そのことが成長を阻害するようになったのです。 中神:それほど強固になってしまった組織を動かすためにはどんな工夫が必要ですか? 小口:三菱重工ではこれまでも本社がROICの導入などを試みてきましたが、成果が出ませんでした。それは事業部の人が「どうせ外向けのアナウンスだろう」と本気で受け止めなかったからです。 そこで今回の事業評価制度導入ではそういう人たちをギャフンと言わせるために、「あなたたちがいかに今ダメか」ということをデータで徹底的に示しました。そして次に、「でも、こうすればもっといい事業運営ができますよ」とリードしました。 ポイントは、事業評価制度の説明に少し難しい理屈を入れたことです。今まで重視していたPLではなく、見ていなかったCFを改善すれば得点を与えることにしました。CFはすぐには理解できないので、反対もできません。私からすれば、各SBUのBSに絞る余地があることは明白だったので、少し取り組めばCFが出てきます。 実際に1,000億円のCFが生まれれば、よし次は2,000億円だよと。それを事業投資に向けてあげるとみんな大喜びです。一方で改革に乗り遅れた事業を3つくらい売却すれば、みんなお尻に火がつきます。こうして組織が動き始めました。小さな成功を経験させるとともに、ある部分ではケジメを見せないと誰も本気になりません。それが改革のアジテーターの役目だと思います。

戦略的事業評価制度の先には、戦略的“人材”評価制度を

中神:私は三品和広・神戸大学教授の著作が大好きなのですが、『経営は十年にして成らず』という本の中で先生がGEとウェルチの経営について分析されています。 多岐に渡るGEの事業計画を1人の経営者が判断することは不可能だと考えたウェルチは、伝統ある事業計画の承認儀式をやめてしまいました。代わりに、3,000人もの幹部と自ら面談して、厳しい質問をぶつけていきます。徹底して人物とその深みを鑑定し、鑑定し終わったら、その人を信頼して任せきってしまいます。人を選ぶことで、間接的に戦略を選んだというわけです。 優れた事業を編み出すのは結局「個人」ですよね?重工が戦略的事業評価制度で資源配分の仕組みを作ったのは確かに素晴らしい。でも、配分だけで勝てるわけではありません。重工が戦っているGEやシーメンスといった大関・横綱、あるいは小口さんがいつも意識しているイーロン・マスクのような起業家と本当に伍していくには、8万人の従業員の中にいるはずの起業家・事業家の発掘と配置が最大のポイントになるのではないでしょうか。 小口:その通りです。沢山の事業を抱えながら、「社長になったのだから、今日からあなたが決めてください」と言っても、そんなことできるはずがありません。 だから大宮(現会長)は社長に就任したとき、「俺にわかる分野は限られている。それぞれの事業計画を聞かないとは言わないが、俺に判断できるツールをくれ」と言いました。それで事業評価制度を設計し始めたわけです。これは各事業のポテンシャルを数値化するものとして機能していると思います。しかし彼が最後に求めたのは人材の評価制度を作ることでした。その意味では、当社もGEと同じなのかもしれません。 中神:ウェルチも一つひとつの事業なんて見ていられないから、人だけを見ました。有名なクロトンビル研修所でも、人の教育と選別に自らめちゃくちゃ時間を使いました。ウェルチは結局、「人」で超大企業を強くすることに特化したと言えます。 重工も勝たなきゃいけない。そのためには資源配分も大事ですが、重工の中のイーロン・マスクを見出して「お前やれ」と任せられること。大企業の改革も最後はそこに行き着くのではないでしょうか? 小口:孫正義やイーロン・マスクの会社に改革者はいなくても、実は当社にはいるかもしれませんよ。彼らの会社には、彼らのことを否定するような人は入りません。否定するなら自分で別の事業をやっています。でも当社には、そこまで考えている人がいないので、間違えて(笑)入っているかもしれません。そういう人をどう発見するかだと思います。 自然界には、「1%のコマドリ」がいるんです。99%のコマドリは春に卵を産むのですが、1%くらい秋に産むのがいるのです。当然、間もなく冬が来て雛鳥は全部死んでしまうのですが、それでも毎年1%の確率で秋に卵を産む親鳥が発生します。これは、いつか春と秋が逆転するかもしれないからだと思います。何か異常なことに対応する力を、自然はきちんと用意しているのです。 同じことは人間でも起こります。今は力を発揮できていなくても、大きな変化の時代にはポテンシャルを発揮する人がいるかもしれません。そういう人の芽を摘まず、大切にすることは組織的にできるはずです。

生き物に学ぶ、人間の本質

中神:コマドリの話が出ましたが、小口さんは昆虫が大好きで、今でも網を持って蝶を捕まえに出かけていますよね。 実は、そんな少年のような小口さんと、改革を進めていくリアリストであり戦略家でもある小口さんの姿が、私の中ではうまく像を結んでいませんでした。 でも今日のお話で、小口さんは生き物をじっと観察することで自然の摂理や人間の業のようなものを見出だし、それを経営にも役立てているのではないかと感じました。 小口:昆虫は常に同じことを繰り返していますよね。本能に支配されていると言ってもよいでしょう。同じことを繰り返すことで種が保存され、いいことが起こります。しかし、人間は同じことを繰り返すほど保守化してしまい、その結果必ず悪いことが起こります。 生きとし生ける物は、本当は誰もが「天使」なんです。でも、神様は人間にだけ、「悪魔」のプログラムを入れたのだと思います。「天使」と「悪魔」を同居させることによって葛藤させ更なる高みを目指せるように。だから人間は油断していると、悪い方向に持っていかれてしまいます。そうならないために、自らを厳しく律するガバナンスが重要になるんです。 中神:孫正義やイーロン・マスクは、悪魔に耳を貸さず、世の中の問題を解決することだけに集中しているということですね。 小口:だから彼らは強いのだと思います。そういう人には同調者が現れて、リソースが集まってくる。残念ながらそこから最も遠いのが、日本の大企業なのだと思います。 神様は、よりよく生きるように生きるようにと作ってくれたのに、人間が勝手に死ぬように死ぬようにと動いてしまいます。素直に考えれば、もっといい結果が出るはずです。 中神: 昆虫や動物好きの小口さんと、人間組織の改革者の小口さんがようやく像を結んできたような気がします。 本日は知的刺激に満ちたお話をありがとうございました。

編集後記

これまでのニューズレターでは、ファイナンスやガバナンスの考え方をどのように経営に活かし、企業の資本生産性を高めるかということを中心にお送りしてきました。しかし、どれだけ優れた経営手法であっても、実際に会社を変えていくには、改革に向けた空気を醸成し、あの手この手で組織を動かす仕組みを作らなくてはなりません。 そこで今回小口さんには、長崎造船所以来130年以上の歴史を誇り、グループ8万人の従業員を擁する三菱重工という「巨艦」を動かしてこられた秘訣をお伺いしたく、対談をお願いしました。 小口さんの行動原則はとてもシンプルで、常に「それは世の中の問題を解決できるのか」ということだけを考えていらっしゃいます。多くの改革は売上が伸び悩んだから、赤字になったからと、内側の問題を解決するために行われます。しかし三菱重工では世の中の変化や、世の中が求めるものを軸に据えているので、改革の道筋がぶれることがありません。たとえ大胆な改革であっても、そこには人々を動かす説得力があります。 私たちはまだ創業3年、従業員10数名の運用会社ですが、そんな小口さんのお話を伺い、「自分たちが解決したい世の中の問題は何か」ということを今一度考えさせられました。それは、「経営と金融の距離が遠くなってしまった」という問題を、「働く株主®」というコンセプトで解決していくことだと思います。 私が参加した2年前には影も形もなかったファンドが、少しずつ大きくなってきました。神様が生きるように生きるようにと創ってくれたのかもしれません。株価のことよりも経営のことばかり考えている変わり者の運用会社ですが、いつか季節が巡り日本の資本市場における「1%のコマドリ」だったと言われるように、シンプルに前向きに働いてゆきたいと思います。

リサーチ・オフィサー 槙野 尚